子どもを幸福にするためにたった一つ願うことは…

こんにちは。BeBRAVE.Sビーブレイブエスの明正明美(みょうしょうあけみ)です。

5月の終わりにしては肌寒い日でした。のと里山ミュージアムで能登復幸フェスタが開催されており、雨が心配でしたが、それほど降らなくてホッとしました。どの飲食ブースも行列で、なんとか韓国唐揚げチョアチキンを買って車の中で食べました😋

 

さて、今回はある高校生の読書感想文のことをご紹介したいと思います。

彼女が読コンに選んだのはヘルマン・ヘッセのメルヘンという本の中に収められた「アウグストゥス」という作品です。

あらすじは以下のようなものです。

夫を失った若い女性エリザベートは男の子を出産し、アウグストゥスと名付けます。隣家の不思議な老人はエリザベートに言います。「お子さんにとって一番よいと思われることを考えてみなさい。そしてそれが本当になるようにしてあげなさい。ただし、一つだけだよ」

エリザベートはいろいろ考えた末に、”みながアウグストゥスを愛さずにはいられないように”と願い、その願いどおりに、アウグストゥスは誰からも愛されて成長していきます。

はじめは幸福にみえたアウグストゥスの人生ですが、ただ与えられるだけの愛は彼の心を邪悪に導きます。他人の愛を喜びもなく冷酷に受け入れるだけの息子を心配しながらエリザベートは病にかかり亡くなります。

求めもせず、受け入れる資格もない愛に囲まれることにアウグストゥスは嫌気がさします。ただ受け入れるばかりの浪費された生活に価値を感じられなくなったアウグストゥスは毒を飲んで自らの人生を終わらせようとします。

その時、あの不思議な老人がやってきて、「願いをもう一つかなえてあげよう」と言います。そして「君が幸福だった時のこと、人生が良く価値高く思われた時のことを残らず思い出してみなさい。なにが君を幸福にしたかが、きっと分かるだろう。それを願えばいい」と言います。

アウグストゥスは泣きながら、「人々を愛せるようにしてください」と願いました。

願いはかない、彼の生活は一変します。人を愛し、空虚な心が満たされ、その生涯を終えます。

 

以下が高校生の感想(抜粋)です。

愛する子どもを幸福にするために、たった一つ、何を願うのか。これはとても難しい問だと思う。なぜなら、それは「人は何によって幸福になるのか」という問いであるからだ。自分だったら何を願うだろう−

本を閉じ、自分への思いを巡らせた。私は誰かを心から愛せる人だろうか。「部活動に没頭する私」「ひたすら勉強机に向かう私」、それらは「自分のためだけの」頑張りになっていなかったか。周囲に無関心ではなかったか。学びの目的を忘れていなかっだろうか。

私は多くの人の励ましや支えに包まれて生きてきた。そのことへの感謝がなくなれば、ただ無償の愛を受け入れているだけのアウグストゥスになってしまう。

人を愛する心の幸福にアウグストゥスが気づいたのは晩年のこと。そこに物悲しさが漂う。

 

どうでしょうか。彼女は最後に言います。18歳、人生の夜明け前。私が日々学び挑戦するのは、価値ある人生を送るため、そして、人を幸せにする力をつけるため。私は学びの挑戦を続ける。

 

「今どき」の若者はいろいろとやり玉にあげられます。どの時代にあっても… 高年齢者が批判するのはたいていの場合、「若者」ではなく「今どき」の若者なのです。でも、年齢や時代ではないのですね…

私たちおとなは、「今どきの」子どもたちを簡単に批判します。口には出さなくとも自分たちの頃は〜と比較しながら…

人生の夜明け前を生きている子どもたちの声は聴いてみる価値はあります。目を閉じて…(目を開けるとアラばかりが目に付きますから…)

 

「アウグストゥス」ですが、エリザベートは息子の幸福を思って、誰からも愛されることを願ったのです。「よかれと思って」

自分がエリザベートなら…問うまでもありません。私も同じように日々願っていました、エリザベートと同じことを。子どもの幸福のために…疑いもせず。

平成の初め頃、有名俳優のお嬢さんが書いた「愛される理由」という本がベストセラーになり、多くの若い女性が彼女にあこがれました。彼女のような人生にあこがれました。そのお嬢さんはともかく、「愛される」人にあこがれた多くの女性たちは今満たされた人生を送っているでしょうか、それとも空虚な人生を虚ろな目で見つめているのでしょうか。