こんにちは。BeBRAVE.Sビーブレイブエスの明正明美(みょうしょうあけみ)です。
先日、あるショッピングセンターのなかに、幼児教室を見つけました。
知能向上教室、3歳からでもまだ間に合います、知能指数を30以上引き上げることは可能です、知識教育ではなく知能教育を行います…このような文言の並んだパンフレットがありました。
40分程度教室で講師とやりとりしたり、教材を使って楽しく遊ぶ、というものらしいのですが、入会金や月謝、教材費などで年間20万円ほどかかりますし、通う時間も含めれば大きな時間のまとまりです。いろんな考え方はあるのでしょうし、選択肢のひとつだとは思います。ただ、こういったことに心を動かされてしまう親御さんの心を思うと複雑です。お子さんの将来を考えると先行投資かな?と考える方もいらしゃるかと思います。
さて、昨日の朝刊でおもしろいコラムをみつけました。ギリシア神話に登場する伝説の都市トロイアを発掘したドイツの考古学者シュリーマンは、1865年、ちょうど江戸時代から明治時代に変わるころ、日本にも来ています。1か月ほど滞在しています。日本の教育が欧州の文明国家以上に行き渡り、識字率が高いことに驚く一方で、そのことが民衆の精神の発達につながっていないことを指摘しているそうです。その理由について、封建体制の抑圧的な傾向をあげています。実際、当時の日本は密告が横行し、それが幕府を支える機能となっていたようで、そのために人々の間には不信感と嘘がはびこっていたようです。
なんだか昔のこととは思えません。
現代社会では民衆自らがお互いに監視しあい、SNSを通して暴露密告干渉などに時間を費やしています。
日本国民の識字率はほぼ100%です。世界的に珍しいことです。教育が行き届いている証拠です。でもその教育は私たちにとってどのような意味を持つのでしょうか。人間性の向上に役立っているでしょうか。文字・言葉を他人への誹謗中傷に使い、足を引っ張り合っているのではないでしょうか。文字・言葉は人間に生きる勇気を与える力にもなれば、社会の人々を混乱に陥れる凶器ともなります。
私たちが能力を向上させるのはなんのためなのか。知能指数を上げるのはなんのためか。他人を蹴落とし、のし上がるためなのか。
知能を向上させることは素晴らしいことです。商業主義に踊らされることなく、目の前の子どもをしっかり見て、なにがその子にとって大事なのか、なにがその子にとって幸せなのか、考えてみてください。何十万円も払わなくても、狭苦しい教室に通わなくても、毎日の生活のなかにはすばらしい教材とすばらしい時間が存在しています。
灯台下暗しですよ!