こんにちは。BeBRAVE.Sビーブレイブエスの明正明美(みょうしょうあけみ)です。
満月が少しずつ欠けていき、下弦に向かっています。下弦の月は結婚式の引き出物の図柄には適さないなど、かつては敬遠されていたようですが、現代では「物事を整理し、次の新しい始まりへの準備」などの解釈がなされ、デトックスの時期とされているみたいです。面白いですね😊
NHKでは、日本に帰化した明治の作家小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)とその妻セツの物語「ばけばけ」を朝ドラでやっています。私は時々土曜日の総集編を見る程度ですが、元々妖怪やおばけ、幽霊の類が好きなので、影響を受けてしまうようです⋯
いつも利用している図書館のキッズコーナーで、四谷怪談をマンガや絵本も含めて何冊も借りてしまいました⋯(四谷怪談は小泉八雲の作品ではありませんよ)
四谷怪談と言えば、顔が崩れたお岩さんがうらめしや〜と出てくる怪談の代表作で、誰もが知っている怪談物語です。牡丹燈籠よりも怖さでは上です👀
有名な怪談ですが、この作品が実は、あの「忠臣蔵」と対をなしているということを、初めて知りました。
何冊か借りたなかのひとつにそのことが触れてありました。(全く触れてないものがほとんどで、インターネット検索でも同様です。)
主君の仇討ちのために何年も潜伏して、とうとう目的を遂げるあの赤穂義士の物語が「表の忠臣蔵」なら四谷怪談は、浪人になって生活苦に喘ぐ者たちを描いた「裏の忠臣蔵」ともいえるそうです。
名前は変えてありますが(太平記に出てくる南北朝時代の人物として描かれています)、妻お岩を斬り殺して祟られる悪人伊右衛門は、藩主が江戸城で刃傷沙汰を起こして藩取り潰しとなり、浪人となってしまいます。しかし伊右衛門には仇討ちなどという気持ちは微塵もないばかりか、藩主の軽率を恨み、金に困った挙げ句、公金まで横領します。
作者の鶴屋南北は、18世紀中頃の江戸時代に生まれ、100以上の作品を書いています。作品の多くは江戸時代の社会を描いた世話物と言われる時代劇です。
少年少女古典文学館シリーズのひとつで高橋克彦の現代語訳を読むと、少年少女向けとは思えないような残忍な殺人シーンが克明詳細具体的に書いてあり驚きました⋯また、伊右衛門他登場人物のやり取り、独白、心の中の言葉などが、読み手に迫ってきました。
裏忠臣蔵と言われるだけに、美談として語られがちな仇討ちの別の側面、武士の体面へのこだわりやその滑稽さ、時代の移り変わりが見えます。
とりわけ伊右衛門の独白には、人間の持つ身勝手さや自分かわいさ、浅はかさや愚かさというものが出ていて、作者の時代風刺、人間風刺がみてとれます。伊右衛門が殺人など悪事を犯す理由が「傍から見ると」本当に身勝手なのです⋯でも私たちが、故意に、あるいはうっかりやってしまう過ちは、当人は気づいていなくとも、やはり身勝手な言い分があるものです⋯
キッズコーナーといいながら、キッズの姿のない寂しい図書館で借りた四谷怪談、大変収穫ありでした。人間を堪能するにはうってつけのテキストです。まだまだ冬至まで時間があります。長い夜を怪談物語でお楽しみください😊




