支えからリスクへと変容しつつある家族

こんにちは。BeBRAVE.Sビーブレイブエスの明正明美(みょうしょうあけみ)です。

荒天が続いており、北陸らしいといえば北陸らしいお天気です。太平洋側のお天気に慣れ親しんだ方にとってはツライ毎日だと思います⋯少しでもお日様に当たるようにしたり、冬ならではの楽しみを見つけるなど、冬期うつにならないよう気をつけてください。

今日は上映中の映画「ナイトフラワー」のことを書きます。

ナイトフラワー

若いシングルマザーが子どもを育てるために昼はパート、夜は違法薬物の売人をやるというストーリーです。

夫が借金を残していなくなってしまったため、2人の子どもと共に夜逃げ同然で東京にやってきた主人公ですが、働いても働いても追いつきません。仕事帰りに偶然薬物を手に入れてしまい、売人になるのですが、子どもが起こしたトラブルで損害賠償金を支払わなければならなくなり、とりあえず今日明日をしのぐためのはずだった売人から抜けられなくなり、深みにはまっていってしまいます。

 

彼女は「お金がない」ことで不幸になっていきます。「お金さえあれば」彼女は救われたと思います。一方で、この映画には「お金が十分にある」けれども不幸になってしまう人も出てきます。ある女子大学生は薬を買うお金を親からせびり(いくらでも母親からもらえるのです)、ヤク中となり、警察からの職務質問から逃れる途中交通事故に遭って亡くなってしまいます。

亡くなった女子大学生に違法薬物を売っていたのがシングルマザーの主人公でした。

売買を取り仕切る元締めの、自分の子どものためなら人を不幸にしてもいいってか⋯俺の親もそんなだったらなぁ〜の言葉が印象的でした。

イギリスのケン・ローチ監督の作品「スイートシクスティーン」に、ピザの配達を利用して薬物を売る手法をマフィアに買われてのし上がる少年が出てきます。小さな子どものいるお母さんにまで売りつけ、仲間からも非道だと非難されますが、彼がそうまでして稼ぎたかったのは、家族のためでもあったのです。(しかし少年の努力は家族によって踏みにじられます)ケン・ローチ作品は家族をテーマにしたものが多いのですが、日本ではもてはやされ、流行る家族礼賛、絆といったものとは一線を画する内容ばかりです。

 

「ナイトフラワー」は後味の悪い、重い作品でした。ブラジルのリオ出身の監督の自らの経験も随所にあるとのこと。

家族とは。血のつながり、法的なつながり。日本においてはこの2つが家族を規定します。家族は太い絆(支え)であると同時に、繋ぎ止め、縛るものでもあります。少子高齢化の進む今、支えからリスクへと変わりつつあります。

ナイトフラワー、ご覧になったらどんな思いを持たれるでしょうか。

冬型は少し緩みそうです、。風邪など感染症には十分お気をつけください。