意外に思うかもしれませんが、海外に比べて、日本人のヘルスリテラシーは低いとされています。新型コロナウィルスについても、恐れ始めるのが遅く、恐れ終わるのも遅いと指摘されています。(医学博士であり、経営学修士MBAも持つ、医療未来学者:奥真也さん)情報の洪水にパニック状態となってしまい、過剰反応したり、あるいは都合の良い情報だけを信じて対策を怠ったり、メディアリテラシーと同様のことが起きているのです。感染者数・直接死亡者数の割には関連的に打撃を受けたり、関連死も多いのが日本のコロナパニックの特徴です。
このコーナーは医学博士で日本小児科学会・日本消化管学会会員:新井勝大(かつひろ)さんの「健康長寿のために」を参考にしたものです。
目次
・ヘルスリテラシーとは?
・ヘルスリテラシーはどんな場面で必要?
・情報を見極めるための5つの確認(ポイント)
・受診時に役立つ「4つの行動」
・医療者への3つの質問
・セカンドオピニオンについて
A 健康・医療に関する情報を「入手」し、「理解」「評価」「活用」すること。
A ① 病気に対処するとき(医師などと適切なコミュニケーションをとるために必要)
② 病気の予防(予防接種や健康診断を受けるとき)
③ 家庭や職場、地域を健康な環境に変えるために必要
Q 健康・医療情報をどこから、どうやって入手する?
A テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、インターネット、知人・友人、医療関係者…入手先はいろいろですが、間違った情報や科学的根拠があいまいなもの、言葉の意味がわからないものなどがあります。情報は発信者によって目的や対象が異なるため、検索ワードを変えたり、複数の記事を見て比べることなどが必要です。検索上位の情報が信頼できるとは限りません。中には命の危険につながるような間違った情報もあります。
① 「か」書いた人(発信した人)は誰か
医療関係者なのか、患者・家族なのか、公的機関なのか、利益を求めた企業なのかで、その情報の内容や視点も大きく変わります。
② 「ち」違う情報と比べたか
一つの情報がすべての人に当てはまるとは限りません。他の情報と見比べることで、その情報が偏ったものかどうかがわかります。
③ 「も」元ネタ(根拠)は何か
根拠を示す引用文献などがあることは、その情報の信頼性を高めます。ただ、根拠となる情報そのものが誤っていることもあるので注意が必要です。
④ 「な」何のための情報か
医療関係者が患者のために発信している情報、患者の方が自分の体験を共有するための情報、商業目的の情報など、その目的を知ることで情報をうまく使えるようになりましょう。
⑤ 「い」いつの情報か
医学や健康への理解は日進月歩です。かつては正しいとされていた情報が今では誤っていることもあります。
ここに書いた5つのことが確認できないようであれば(匿名とか、ハンドルネームだけとか、根拠が書かれていないとか、更新日が古いとか、目的がわからないとか)、それらの情報は「価値がない」ということで、
5つの確認
「か・ち・も・な・い」と覚えてください。
インフォームドコンセントという言葉は今ではずいぶん知られてきています。医療者は必ずていねいな説明をするようになりました。しかし、内容を十分に理解できず、確認もできないまま同意の署名をしてしまう方もいらっしゃるのではないかと思います。
医療者が診療の目的や内容について患者に十分に説明し、患者の同意を得ることがインフォームドコンセントの本来の意味ですから、自分が納得したうえで意思決定をすることが必要です。
① 記録 … 医療者に伝えたいこと、医療者から聞いた大事なことはメモを取って記録
② 伝達 … 自覚症状や病歴、その後の変化など大切な情報は医療者にしっかり伝達
*赤ちゃんや小さなお子さんは自分では話せないので、ここはパパやママがしっかり観察して伝えないといけません。パパやママの判断や思ったことではなく、事実をそのままの言葉で具体的に伝える必要があります。元気がなかった…だけではなく、声を出さない、あやしても笑わない、ミルクを50CCしか飲まなかった、などなど。
③ 質問 … 医療者の説明が理解・納得できないときは質問をして確認
④ 責任 … 最終的に意思決定をするのは自分であるという責任を自覚する
① (私の)病気の一番の問題点は何でしょうか?
② 病気の克服のために私ができることは何でしょうか?
③ その治療が必要な理由を教えてもらえますでしょうか?
これらは、医療者への質問であると同時に、自分自身への問いかけとしても大切です。家族や友人に同席してもらうのもいいかもしれません。
治療方法に疑問がある場合や、自分で調べた治療法を検討したい場合などに利用できます。現在の主治医からの紹介状(診療情報)が必要で費用も発生します。また、転院を前提としていないため、事前にHPなどで詳細を確認してから行きましょう。
自分が選ぶ治療にどのような長所・短所があるのか、主治医とは違う視点で話を聞き、納得のいく選択をするきっかけになるかもしれません。