妊娠中・出産後の女性を守る法律は労働基準法だけではないのですよ

こんにちは。BeBRAVE.S代表の明正明美(みょうしょうあけみ)です。

今回は妊産婦の方を保護する法律についてのお話をします。

労働基準法に女性を保護する規定があるのは多くの方がご存じかと思います。

特に妊産婦(妊娠中及び産後1年を経過しない女性のことです)については、産前産後休業規定(65条)がよく知られています。

出産日以前の6週間は産前休業(労働者からの請求が必要です。みなさんの会社にも産休取得申出書なるものがあると思います)、出産後8週間は産後休業で、こちらは「(事業主が労働者を)就業させてはならない」というものです。出産する当人にとっては同じ連続したお休みでも、法律上の意味合いが全く違うのですね。

では、妊産婦検診や保健指導を受けるための受診、医師から健康上の指示があった場合の事業主の措置義務などはどこに規定されているでしょうか?

みなさんの会社の就業規則には妊産婦の定期受診の頻度のことや、勤務時間や休憩時間の変更等について書かれていると思いますが、これらは「男女雇用機会均等法」という法律に規定されているのです。

事業主は、妊娠中・出産後の女性労働者が保健指導・健康診査を受けるために必要な時間を確保し、医師等による指導事項を守ることができるよう必要な措置を講じなければなりません。(12・13条)

男女雇用機会均等法は略して「均等法」などと呼ばれているため、妊産婦保護規定があること自体知らない方が多いかもしれません。

法律は第1条に、目的が書かれていることが多く、何のためにこの法律ができたのか、何を目指しているのかが明記されています。

男女雇用機会均等法(正式な法律名は、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保に関する法律」というのですよ。)

第1条には、「この法律は、法の下の平等を保障する日本国憲法の理念にのつとり雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を図るとともに、女性労働者の就業に関して妊娠中及び出産後の健康の確保を図る等の措置を推進することを目的とする。」と、目的が書かれ、

第2条には、「この法律においては、労働者が性別により差別されることなく、また、女性労働者にあつては母性を尊重されつつ、充実した職業生活を営むことができるようにすることをその基本的理念とする。」と、基本理念が書かれています。

そんなきれいごと!

とおもうなかれ!

法律に書いてあるのとないのとでは違うのです!

くわしくは、働く女性の母性健康管理のためにをご覧ください。

また、妊産婦へのハラスメント、いわゆるマタハラ(マタニティ・ハラスメント)や、妊娠・出産を理由とした不利益取り扱いについても、この法律に規定があります。

マタハラの周知度が上がり、ハラスメントは卑劣であるという認識が浸透してきたのはいいのですが、明らかな法律違反までもが、ハラスメント=嫌がらせとして、いっしょくたにされているのは大変困ったことです。

妊娠したから契約更新がなくなってしまった…育休復帰後はほとんど一方的にパート扱いになった…これらは「ハラスメント(マタハラ)」ではなく、「不利益取扱い」として、都道府県労働局長の助言、勧告対象となります。