過労死「KAROSHI」は世界の共通語です。20年後は自分のこどもが犠牲になります。

こんにちは。BeBRAVE.S代表の明正明美(みょうしょうあけみ)です。

昨日、 過労死等防止対策推進シンポジウムに行ってきました。

平成26年に過労死防止法が成立して以来、

毎年11月は過労死等防止啓発月間となっており、全国でシンポジウムが開催されます。

過労死はどの国にも該当する概念・言葉がないため、そのまま日本語の「KAROSHI」が全世界の共通語となっています。

このような例は「SUKIYAKI」、「KARAOKE」他、「SUSHI」「FUJISAN」「KAWAII」「MANGA」など、日本独特のものがほとんどです。

つまり、過労死は日本特有のものなのです。

過労死といえば、だれもが過重労働・オーバーワークと思いますが、日本特有といわれるのは、そこに賃金不払いが加わるからです。

この賃金不払いというのが外国ではどうしても理解してもらえないようです。

数年前の過労死防止シンポジウムでは、過労死を考える家族の会の方が、韓国で過労死防止の話をしても、まったく理解されず途方に暮れたとおっしゃっていました。

韓国でも過重労働はもちろんあるのですが、お金欲しさにオーバーワークをして亡くなる人はいても、働いた分のお金を支払われないということはないので、日本の過労死はとうてい理解できないのです。

日本人ならもちろん、だれもが「わかる」話ですよね。

なぜって、始業10分前の朝礼や終業後10分の残業の支払いを「当たり前」と思う人はほとんどいないでしょうから。

過重労働と残業代不払いはこれを大きくしただけです。

1日5~6時間の残業を週5日間1カ月間続ければ法定の残業時間は超えてしまいます。

なので、過少申告した労働時間分のお金しか支払われません。

ボランティア出勤などという言葉もあります。自発的に出勤してるから労働ではないという論理です。

残業の多くはこの論理が通っています。

これをおかしいと感じる日本人はそう多くないのです。

昨日のシンポジウムでは電通過労死被害者:高橋まつりさんのお母さんがお見えになっていました。

報道でそのすさまじい働き方は知っていました。

しかし、遺族である高橋まつりさんのお母さんから語られる娘の働き方は狂気をも超えた世界でした。

電通は収入の高さが際立っていたそうです。

だからこそ、まつりさんは早くお母さんに仕送りをしたくて、悪評高い電通に就職したのです。

実は、収入が高いから無制限に働くのが当たり前、残業代も込みだという考え方はけっこう日本人に浸透しています。

残業代の不払いを指摘すると、その分ボーナスを支払っているという反論もあります。このような論理に法律の出番はありません。

発展途上国やならず者国家のはなしではないのです。

高橋まつりさんは、精神に異常をきたす直前まで、自分のことだから自分で何とかする、お母さんは口を出さないでと、自己責任を全うしようとしていたのです。

親一人では子どもを守ることなどとうていできない。

まつりさんのお母さんの話を聞いていて痛感しました。

個人の問題ではない、社会全体の問題だというのは個人の責任を過少にしているとか、他者依存とか、そんなはなしではなく、現実問題として自己責任は不可能なんです。

過労死防止シンポジウムでは必ず遺族の方が話をされます。

みな、どうしてあのとき仕事へ行くのを止めなかったのか…亡くなって何年も何年も経ってるのに、ずっと後悔と自責に苦しんでいます。でも親や配偶者、友人などが止められるのであれば、過労死は国際語になどならないのです。

家族や友人には大切な役割はありますが、それでも、そこで阻止できるようなものではないのです。

過労死防止法は平成26年にできたばかりのまだまだ新しい法律です。

今5歳、10歳のお子さんを持つみなさんは、15年後、20年後、過労死(KAROSHI)はなくなっていると思いますか?

過労死という言葉が死語になっていると思いますか?

今現在過労死の被害者は働き盛りの中高年男性だけではありません。

高橋まつりさん以外にも、若い新卒の人、20代30代の人、子育て中の女性など、年齢、性別、職種、雇用形態に関係なく過労死は起きています。

メディアが取り上げているので過労死も少しは減少するだろうと思いますか?

メディアは国が認定した、裁判で労働者が勝った、こんなときだけ騒いでいます。

警察庁が発表している仕事関連の死亡は厚労省の発表する過労死をはるかに上回っています。

国が労災認定しなければ過労死ではないのです。

女性ならなおのこと、家事育児学校関連の業務に忙殺されて過労で亡くなっても、警察庁の統計にも上りません。

高橋まつりさんは過重労働とセクハラ、パワハラ、モラハラなど何重もの責め苦の中で精神を病んで衝動的に自殺したのです。家族に止められるはずなどないのです。実効性を持った法律でした止められません。

何度も何度も同じことを繰り返していますが、家事や仕事の時短術などありません。必要もありません。あなたが担う業務を誰か別の人が担えばいいだけなのです。それは同僚や上司のみならず、消費者やお客様です。