シングルマザーだけじゃなくパートナーのいる女性もコロナ禍で追い詰められています

こんにちは。BeBRAVE.S代表の明正明美(みょうしょうあけみ)です。

きょうは、コロナ禍で脅かされている女性の雇用についてお話します。

労働政策研究・研修機構(JILPT)の主任研究員:周燕飛(しゅう えんび)さんがNHKと共同でコロナ禍における女性の雇用状況を調査しています。NHKスペシャルで放送もされました。「コロナ危機 女性にいま何が」というタイトルでした。

新型コロナウイルスと雇用・暮らし に関するNHK・JILPT共同調査

調査からわかったことは以下のとおりです。

・コロナ禍が雇用に及ぼす被害は女性に集中していること。

(「会社都 合」の失職率、収入激減者の割合、失職した正社員 の非正規化率が高い、休業手当の受給割合が低い 等)。

・保育園・学校の休園(校)や時間短縮は、子育て女 性の雇用喪失の大きな理由となっている。

・子育て男性の家事・育児時間は緊急事態宣言期間中 に一旦増加したものの、今やコロナ前の水準に逆戻り。 家庭での男女役割分業慣行がなかなか変えられない 「壁」の存在が垣間見える。

・妻の労働収入が減少した世帯は、「500万円~800万 円未満」の夫婦世帯の中間層に偏っている。共働きの 中間層は、コロナ禍でより大きな打撃を受けている。

・妻の収入貢献度は、正規女性が42.7%、非正規女性 が23.8%になっている中、妻の収入が減少した共働き 中間層は、貯蓄の取り崩し、食費の切詰めや子ども の教育費カットを行う傾向を強めている。

・ 子育て女性の20人に1人、シングルマザーの10人1人 は「育児放棄気味である」と回答しており、コロナ禍で 児童虐待のケースが増えることを警戒すべきである。

シングルマザーが明日食べる米にも事欠くほど困窮しているのですが、一方で、シングルではない既婚女性たちもかなり痛手を受けていることがわかります。

コロナの影響で業績が悪化している業界トップは飲食・宿泊業界であり、だからこそ感染拡大の元凶として避難の集中している「GO TO」政策がとられているのですが、ここは女性就業率が非常に高いところです。

シングルマザーの貧困激化も女性の雇用悪化もそこが大きいかと思います。

JILPT調査でわかったのは、男性よりも女性がより被害を受けているということです。

飲食・宿泊業界は女性が多く、そこが一番打撃を受けているから。

確かにそうかもしれませんが、私はこの調査結果を見て、亡くなった右派女性作家上坂冬子の述懐を思い出しました。

上坂冬子は戦後トヨタ自動車に就職しました。

終戦直後は当然ながらおそろしい不況でした。

会社からは、女性社員に対し、勇退を促されました。

男性社員のため、男性の雇用を守るため、女性社員には身を引いてほしいということです。

多くの女性社員がいくばくかの金銭と引き換えに自主退職しました。

しかしほどなくして朝鮮戦争が勃発しました。

いきなり特需がきたのです。

退職した女性社員は急遽呼び戻されました。

子どものいる人には託児の準備がなされ、夫婦ともに働く場合には住宅手当やローンの肩代わり、他にも手厚い保障がなされたそうです。

上坂冬子は、女性の権利だとか人権とかいうものは、現実の事情の前で簡単に実現したり蹂躙されたりする、といったようなことを書いていました。

かなり前のことで、どの書籍だったのかも忘れましたし、正確な表現も忘れたのですが、主義や主張の脆さをうまく言い得ており、記憶に残っています。

平時から、子どもの発熱やケガなどへの対応は女性(母親)が担っていることがほとんどでしたが、有事になるとさらに女性にかかり、そのために雇用が失われ、それゆえに家事育児がさらにのしかかってきているという悪循環です。同じくらい働いているときも家事育児の負担は女性に偏っていたのが、非正規になったから、働いていないから当然家事育児は女性がやる、こういう悪戻りになっています。

あらためて、家事などが無償労働として組み込まれている社会なんだと認識します。

今できることはなんでしょうか。

年齢に応じてでいいので、家事などはこどもといっしょにやり、「お手伝い」ではなく「家での仕事」として子どもに認識させること。

この世にただで手に入るものはないのだということを教えること。(反論はあるかと思いますが、私は無償の愛というもにも懐疑的です。あえて言うなら無償の愛という褒賞への期待、虚栄といったところでしょうか)

もしパートナーが家事をただで手に入るものと思っているなら、こどもを同じような人間にはしないこと。

完璧には程遠くても、自分でやることの尊さを子どもに教えること。

時間がかかってもこれしかないと思っています。