こんにちは。BeBRAVE.Sビーブレイブエスの明正明美(みょうしょうあけみ)です。
みなさん、歌手のアレサ・フランクリンをご存じですか?映画「リスペクト」の主人公です。
3年前に亡くなった、アメリカの黒人歌手で、オバマ大統領の就任式典で歌ったくらいのビッグアーティストです。
郊外のイオンモールに入っている小さなCDショップへ行くと、9割がJ-POP残りがK-POP、海外アーティストはその残りです。それでもアレサのCDはちゃんとあるんですよ!
20代のころ、映画「スティング」でTHINK!を歌うアレサをDVDで見て、すぐにレコードショップに行き、ヒット曲を集めたアルバムを買って、小さなポータブルレコードプレーヤーで聞き続けています。元々ゴスペルが好きなので、パンチのあるこぶしをきかせた(笑)歌い方がとっても気に入りました。
ビッグなソウルシンガー。
パンチのある歌唱力の大物。
貫禄のある往年の姿しか知らなかったので、映画を見て、すごく心が揺れました。
彼女の父親が牧師だったことを始めて知りました。
ゴスペル歌手であった母親とは離れて暮らさなければならなかったことや、父親の期待に応えるためいい子でいなければならなかったこと、いつも父や夫のいいなりだったこと、それでも自分を確立したいと焦っていたこと、いろんなことが映画の中で描かれていました。
歌詞の意味も深く考えることなく、パンチのきいた歌唱力という表面的なところでしたアレサを見ていませんでした。
リスペクトという言葉はいろんな場面で使われています。
日本語でも英語でも意味は変わらないと思うのですが、まるで「リスペクト」がすごく特別な言葉であるように、そして尊敬や敬意とは異なるかのように使われています。ほんのささいなやじやからかいまでもが「リスペクト」を振りかざす人たちによって糾弾されるなど、正義の暴力をまとった攻撃の武器となっています。
アレサが歌う「リスペクト」はそんなたいそうな、大げさな、意味深な、特別な意味を持たせたもったいぶったものではなく、ただ自分を少しだけでいいから大事にしてほしい、そんなささやかな願いのことなんです。
自分を卑下したり、焦って手あたり次第に歌ってみたり、とにかく自分を認めてほしい、そんな痛さがあるのです。
大物歌手、ビッグアーティストの往年の姿からは想像できない痛さです。
でも彼女の切実な気持ちにすごく共感しました。
大統領の就任式典で歌うほどの歌手でさえも、ささやかなリスペクトを望むなら、凡人の私たちはもっとです。
ほめてもらいたいわけじゃない。
持ち上げてほしいわけじゃない。
ごはんの準備が嫌なんじゃない(嫌な時もあるけど)
掃除が嫌なんじゃない(嫌な時もあるけど)
育児がツラいんじゃない(ツラい時もあるけど)
仕事がしんどいんじゃない(しんどいときもあるけど)
ただ、ほんの少しのリスペクトがほしいだけ。
おざなりではないサンキューが欲しいだけ。
風邪を引いて寝込んだときに、食事や子どもの送り迎えのことだけじゃなく、自分の体のことを少しでいいから気にかけてほしいだけ。
ごはんは作らなくていいよ、子どもと外で食べてくるから。
ではなく、なにか作ろうか?って言ってほしかっただけ。
明日のお迎え大丈夫?じゃなくて、体大丈夫?って言ってほしかっただけ。
アレサは神様から偉大な才能を授かったけど、男たちは彼女を利用してばかり。
彼女じゃなくても泣きたくなる。お酒におぼれたくもなる。
でも神様は彼女を見限らなかった。
彼女は最後まで神様から離れなかった。
だから神様は彼女を守ってくれた。
神様が彼女を見限っていたら私たち、彼女のパワフルでソウルフルな歌声に出会えなかった。
無名の歌手として埋もれていた。
アメージンググレースはいろんな人が歌うのを聞いて、それなりにいいなと思ってた。
でも神様に守られたアレサが歌うこの曲は、神様への感謝が切実に伝わってくる。
今はスマホで音楽が聞ける時代です。
アレサを知らないという若い世代の女性は、ぜひ聞きいてみてください。
私たちとは異なる世代、国籍、人種の女性である彼女の訴えるリスペクトを求める声が切実に伝わってきます。