遺伝は教育に負けるほど弱くはないが、遺伝で人生が決まるわけでもない。

こんにちは。BeBRAVE.Sビーブレイブエスの明正明美(みょうしょうあけみ)です。

例年にない暑い夏がやってくる。日本列島は夏から秋にかけていつもより高温になる可能性がある。

夏のはじめごろから予測されていたのですね。定期購読している月刊誌の9月号(8月初めに発売なので7月に編集)の熱中症対策のところに書かれていました。最近ようやく目を通したところでした…

敬老の日を含む3日間にわたって開催されるジャズストリート金沢も今年で15周年。こんなに暑かったっけ?と照り付ける日差しを恨みましたが、こんなに暑いのは初めてです!世界的に今年は史上最高に暑い夏でした!

いしかわ四高記念公園ステージでの演奏をベンチに座って白ワイン(500円でした。サイゼリヤの100円ワインを愛飲する私には破格の値段でした…)を飲みながら聴いていたら、小さなお子さん二人を連れたお母さんが隣のベンチに座り、ビッグバンドが演奏する曲に、お母さんこれ大好き、ほらあれあれ、なんて曲だっけ?ほら~あれ!ともどかしそうにしていらしたので、思わず「シング・シング・シングです!」と、口出ししてしまいました(笑)白ワインのせいです(笑)

ジャズストリートは無料で聞けるステージがほとんどで、しかも野外なので、特に公園などはステージから離れていても曲が聞こえるので、お子さまの声などを気にすることもなく、ゆるく楽しめますよ。

私は10回以上ジャズストリートに足を運んでいますが、いつも楽器演奏者を羨ましく感じます。ソロでかっこよくサックスを吹くおじさんやお兄さんやお姉さん、動きまで揃っているトランペット、絶妙なパーカッション…どれも自分にはとうていできないことばかり。音楽は好きでもそのセンスはゼロの私です…

ということで、前置きがすごーく長くなりましたが(笑)、きょうは遺伝のお話をします。(ジャズストリートの話をしたくて無理やりつなげました!)

今現在の自分自身の姿を思うと、「遺伝」というものに対し、正直なところ、あまりステキな感情は持てません…

それでもなお、ここで「遺伝」を取り上げるのは、「子育て万能主義」、親の関わりこそがすべてといった子育て論が親御さんたちを苦しめていて、知育に走ったり、子育てに過剰な力を注いでいるように思うからです。

人の行動(特に知能や学力、パーソナリティ、精神病理、反社会性など)の個人差に遺伝がどの程度、どのように関わっているかを科学的な方法を用いて解き明かそうとする学問が行動遺伝学です。

教育は遺伝に勝てるか?」という行動遺伝学の書籍に遺伝と環境に関する興味深い事実が書かれていました。

著者の安藤寿康(あんどうじゅこう)さんは、行動遺伝学の第一原則「いかなる能力もパーソナリティも行動も遺伝の影響を受けている」をまず挙げています。注意すべきは「遺伝によって決まる」ではなく、「遺伝の影響を受けている」であることと強調します。

そして、親の遺伝子がこどもに「ランダム」に伝わること、「ランダム」を生命現象の重要なキーワードと位置付けています。ランダム、つまり規則性がない、一定の法則に従ってはいないということです。中学で習ったメンデルの法則をおさらいしながらの説明でした。

私たちは遺伝子の解明など最新の科学情報に飛びつき、遺伝をわかったように思ってしまい、中学の理科をすっかり忘れていたかもしれません。

親からどんな遺伝子の組み合わせを持った子が生まれるかは、科学がどれだけ発達してもわからない、神のみぞ知る、否、神さえ知り得ないのだと安藤さんは言います。

一卵性双生児や二卵性双生児の研究から得られた結果は…

書籍のタイトル「教育は遺伝に勝てるか?」の答えは、「遺伝は教育に負けるほど弱くない」です。

生まれか育ちかの議論はすでに教育界において決着がついていて、どちらもです。

行動遺伝学では、それをさらに詳しく説明しています。

人はどんなときでも、環境の言いなりに生きる存在ではなく、遺伝の影響を受けながら、環境に対して能動的に自分を作りあげていく、のだということです。

知能や学力などは遺伝の影響が40~66%ですが、親や家庭などの環境の影響は児童期には33%だが、その後は16%ぐらいに減少していくそうです。家庭を離れ自立することで親の影響が薄れて、本来の遺伝的資質が顕在化してくるということです。

ただ、日本では家庭環境の差が遺伝をしのぐ影響力を示している可能性もあるとのことです。

安藤さんは最終章のところで、極論のようなことを言っており、親御さんからしたら、それじゃあ教育する意味がないのではないか!?と言われそうですが、その極論とは

「どこで誰に育てられようと、子どもはおおむね同じように育っていく」というものです。

ただし、これには「まっとうに育てられれば」という条件がつきます。

まっとうとは、著しい貧困ではない、虐待されない、活動の範囲が極端に狭くないなどです。

もっと詳しく知りたい方は書籍を読んでいただくとして、私がざっと読んだ限りでは、この本は親にとってちょっと、いや、かなり気が楽になるよなことが書かれています。

遺伝がすべてではないし、親の関わり(環境)がすべてでもない。親の関わりが悪いからそんな子になったとはいえない。子どもの側の要因(遺伝)は大きい。ただ、悪い素質が開花しないような環境は必要。親が最良のものを与えたらそれに応えるのも反発するのも遺伝のせい、親が期待するほど子は親の影響を受けない、なので親は子どもへの投資を最小限にとどめて自分の人生を充実させたほうがよい…

こんなところでしょうか。

賛否両論あるでしょうし、親が子にとってとても重要であることに変わりはないのです。ただ、期待が大きいと(幸せになってほしいという、ごく当たり前のことでも。子どもであれ誰であれ、幸せは自分で作りあげるものだからです。)どうしても、思い通りにならないときに、子どもがなんか憎らしくなったり、時間を割いた自分をバカだと思って落ち込んだりするので、子どもにはほどほどの思い入れで…ということで。

もう少しで涼しくなるみたいです!

ビーブレイブ!