過労死もハラスメントもなくしたい

こんにちは。BeBRAVE.Sビーブレイブエスの明正明美です。

きょうは過労死とハラスメントについてお話をします。

過労死防止法ができて7年近くが経ちますが、過労死はいまだに撲滅できず、若い人がひっそりと亡くなっています。

先日金沢商工会議所で行われた「過労死等防止推進シンポジウム」では、2年前に過労自殺によって息子さんを亡くされたお母さんが、過労死を考える家族の会の一員として来場し、お話をされました。

息子さんは東芝系の会社でシステムエンジニア(SE)として勤務していましたが、プロジェクトのリーダーに抜擢され、厳しい納期に追われるなか、数カ月にわたって80時間から100時間の時間外労働を余儀なくされ、心身ともに限界となり、30歳の誕生日を迎えて間もなく自殺してしまいました。

お母さんは当初、これほどまでにひどい働かせ方をする会社が悪いと思い込んでいました。しかし、弁護士による調査が進むにつれ、システム開発を発注した官庁側の問題点が明らかになりました。最初に請け負った会社に問題があったため、新たに受注を引き受けたのが息子さんの会社でしたが、官庁側は納期の延期もせず、息子さんには官庁側との打ち合わせも含め、複雑で難しい業務と厳しい納期がかなりのストレスとなっていたようです。

シンポジウムの最後は有識者による講演があり、長時間労働とハラスメントの関係について詳細な分析・研究結果が報告されました。

ハラスメントが長時間労働を助長させ、両者が一体となって過労死を発生させているという事実をさまざまな事例や諸外国の研究から明らかにしていました。

日本のハラスメント対策の問題点として、ハラスメント行為(加害者の行為)を定義付けし、適正な業務の範囲であったとか、ハラスメントの意図や悪意はなかったといった点を挙げて判断し、加害者と被害者の個人的な人間関係のトラブルであるとしているとの指摘がなされました。

このような考え方であれば、長時間労働をするのも労働者自身の問題であり、企業としての責任は単なる労働時間の管理不適切ということになります。

長時間労働は労働者の能力不足となってしまいます。

電通の高橋まつりさんのときも同様でした。まるで彼女の能力が足りていなかったから長時間労働になったかのような電通社員のコメントがネット上にはありました。あげくに女子力が足りないなどといった中傷までありました。実際に上司からもそのような言葉でハラスメントを受けていました。

長時間労働の強制は明示か暗示かは問いません。現状のハラスメント対策では、業務上の必要性や目的のためなら強制なども許される、免責されるということになってしまいます。

講演をされた大学教授は長時間労働そのものがハラスメントであると言ってましたが、そのとおりだと思いました。

また、発注側の問題点にも言及されていました。

システム開発を発注した官庁は、公務のため、国民のため、このように抗弁をするかもしれませんが、彼らがいう「国民」とは誰でしょうか。すさまじい過労の果てに亡くなった労働者は「国民」ではないのでしょうか。

「国民」を隠れ蓑にして「国民」を苦しめることが許されるわけがありません。

国民のため、住民のため、お客様のため…このような言葉で理不尽なことが正当化されたときは、国民とは誰なのか、住民とは誰なのか、お客様とは誰なのか、自分は国民ではないのか、住民ではないのか、サービスを受けるときにはお客様ではないのか。自分自身にこのように問いかけてみてほしいのです。

KAROSHIがいつまでの世界の共通語では安心して子育てすることができません。