ウイルスからの挑戦には応戦するのみ。負け戦にならないためにはどうしたらいいのか。

こんにちは。BeBRAVE.Sビーブレイブエスの明正明美(みょうしょうあけみ)です

コロナはまだ感染のピークには達しておらず、連日コロナ感染者数が最多であるとニュースが伝えています。死亡者数が昨年夏の第5波を2カ月ですでに上回ったとかで、国会中継でも岸田総理が、この事態をどう見ているのか!!と、野党議員から詰問されていました。

みなさんはコロナが怖いですか?

私は家族が感染者となり、濃厚接触者となった今も「怖い」という感覚には程遠いのです。

先日、神様のカルテの作者であり、現役の医師である夏川草介さんの「臨床の砦」を読みました。

昨年4月に出版された、コロナ感染の診療現場を描いた本で、夏川さんは実際に感染症指定医療機関に勤め、「医療崩壊」ともいえる状況に直面した体験を持ち、「第3波で見た現場があまりに衝撃的だったから」というのが、本を執筆した大きな理由ということです。

激務の中、仕事が終わった後に執筆し、2週間で書き上げたそうです。

この本の中に、感染症対策にあたる医師の、次のようなセリフが出てきます。

 

テレビでは毎日のように感染者数の増加が報道され、キャスターの深刻そうな顔が映し出されているのに、実感としてはどこにもコロナ患者がいないような雰囲気さえある。このギャップはこれまで感じたことがないほど大きい。

「緊急事態宣言」という強烈なフレーズが、しかし驚くほど切迫感のない空気を伴ってマスメディアを飾っていた。

いま必要なことは危機感を感じ、冷や汗を流すということであるはずなのに、町には人が往来し、浮薄な冷静さがメディアを包んでいる。

人は恐怖を感じれば、悲鳴を上げるか沈黙するかどちらかのはずであるのに、そのいずれの景色も見えない。

 

世間の雰囲気をとてもよく言い表していると思います。

高齢者の方や基礎疾患のある方など以外は、コロナウイルスはそれほど脅威的ではありません。少なくとも、かつてのSARS(サーズ)やMARS(マーズ)ほどの致死率はなく、エボラ出血熱などにははるか及びません。

新型コロナウイルスは決して恐ろしい病気ではないかもしれませんが、とても孤独な病気といえるかもしれません。また、コロナウイルス自体はそれほど脅威的ではないにもかかわらず、多くの関連死を引き起こしている、とてもやっかいな病気といえます。

発熱があるというだけで、産婦人科での受診を拒否され、電話相談にさえ応じてもらえない妊婦、発熱のため車内で待たされ、盲腸炎の手術が手遅れになりそうになった人、コロナになったことでがんの治療が受けられなくなった人、自宅待機を強いられ、亡くなってしまった人たちが本の中に出てきます。

小説という形態はとっていますが、嘘は書いていないという夏川さんの言葉が示すとおり、小説の中の出来事は日本中で起きていたことです。

すでに検証がなされ、医療崩壊が起きていたとの結論が出ています。

自分はたまたま病気やけがをすることがなかったため、医療現場を目の当たりにすることがなかっただけだったのです。

娘がコロナ感染者になっなったことで、この病気が必要以上に恐れられていることがわかりました。

コロナ感染者、否、病気になった人の孤独感や差別、悪口を言われる気持ちなどは当事者になってみないとわからないものです。

学童などでは個人を特定しないようにと連絡メールにありますが、このようなことをあえて言わなければならないのは、コロナ感染者とわかれば加害者扱いされ、誹謗中傷の的となってしまうからです。

発症しなければ検査はしませんので陽性とはわかりません。他の人に感染させてもわからずじまいです。発症すれば、もうそれだけで批判の的です。

「臨床の砦」でも、院内感染が起きたことで、コロナ診療の医療従事者たちは他の科の医師たちから、長期に及ぶ診療で気持ちにゆるみが出ていたのではないか、きちんとした訓練を受けていない看護師を派遣したのが間違いではなかったのか、など批判の矢面に立たされます。

100%の予防はありえませんし、ウィルスの侵入を許すほどに現場が疲弊していたのですが。

 

コロナウィルスはウィルスとしてはさほど強力ではないにもかかわらず、人間をここまで混乱させるのです。

たいした「生き物」です。

ウィルスが生物かどうかは専門家でも意見の分かれるところですが、ピラミッドの頂点に立つと自負し、驕る人間をここまで簡単に負かすものが生物ではないなど、それこそ屈辱です。

ウィルス、すごいなと思います。

感服します。

今のところ、完敗です。

ウイルスからの不敵な挑戦です。

私たちはこの状況にどのように応戦していくべきか。

負ければ終わりです。

負けるわけにはいかないのがこの戦いです。

負け戦にならないためにはどうしたらいいのか。

分断され孤独であってはいけない、それだけは確か。