遺伝子情報がわかる=赤ちゃんのことがわかるではありません

こんにちは。BeBRAVE.Sビーブレイブエスの明正明美です。

 

きょうは「遺伝子」について、自分が思ったこと、考えたことを書きたいと思います。

先日、新聞記事に新型コロナワクチンについて、次のようなQ&Aが載っていました。

 

Q ファイザー製やモデルナ製ワクチンが含む「mRNA」による体の異変や、将来持つ予定の子どもへの影響を心配しています。

A 「mRNA」は投与された後、数分から数日で分解されていくとされます

また、遺伝情報を持つDNAから「mRNA」を作る仕組みは体に存在しますが、その流れは一方通行で、「mRNA」からDNAは作られません。これらの理由から、「mRNA」を注射しても体内に長期に残ったり、DNAに組み込まれることはなく、精子卵子の遺伝情報に取り込まれることはないとされます

(厚労省 新型コロナワクチンQ&Aをもとに解答

 

この記事が少し気になったのです。

どこが気になったのかというと、断言している部分と、「~とされています」というようにぼかした言い方の部分があることです。

加えて、「mRNA」がなんなのか、すぐには、はっきりわからなかったので、不安になったのです。

mって、なんだったっけ?

RNAって…なんだったっけ?

聞いたことあるな…

DNAとどう違うんだろ?

さっそく高校生物のテキストを引っぱり出してきて「遺伝子」の章を読み始めました。難しかったです。遺伝子とかDNAとかに関心はあるのですが、詳細なメカニズムを理解することが困難で、何度も挫折しています。家には10冊程度の関連本がありますが、どの本もいろんな角度から書いてあり面白いのですが、遺伝情報の伝え方そのものになると、やはり、挫折です。今回もきっちり理解できたとはいえませんが、ワクチンへの不安がどこにあるのか、なぜその不安があるのかはわかりました。

・ DNAからRNAが作られ(転写)、RNAの塩基配列に従ってアミノ酸が指定され(翻訳)、アミノ酸が多数結合してタンパク質になる。

・ 遺伝情報は、「DNA → RNA → タンパク質 」という一方向に伝達されるという原則がある。

・ これをセントラルドグマ(生物学的な中心原則)という。

・ セントラルドグマには逆転写という例外がある。

・ RNA を遺伝子としてもつ「RNAウイルス」のなかには、RNAからDNAを合成する種類のものがある。

・ 逆転写は逆転写酵素のはたらきによって起こる。

 

新型コロナウイルがRNAウイルスであるために、遺伝子になにかよからぬ影響があるのではないか…という不安があるのです。

でも、ワクチンに使われている「mRNA」が逆転写を起こすかどうかはまだわからないのです。

新聞記事には続きがあります。

現在、妊娠12週までは接種を避けることとされていますが、日本産婦人科学会等は、特に妊娠後期に新型コロナに感染すると、わずかながらも重症化しやすいと指摘。ワクチンは妊婦と胎児の双方を守るとの海外情報もある。主治医らに相談しつつ適切に判断しましょう。

接種は強制ではないので、するかしないかの判断は自分ですることになります。

 

最近、あるSNSに、遺伝子検査をやってみました、という記事がありました。

どのような病気になりやすいか、しみやそばかすなどができやすいか、情報処理能力はどうか、朝方なのか夜型なのか、嗜好品の傾向や栄養摂取傾向など、いろんなことがわかるのですね。

とても面白いなと思いました。

血液型による性格判断や動物占いみたいな楽しさがあります。遺伝子情報を手掛かりに自分の生活を改善するのもありかなと、興味深く読んでいました。

でも一方で、遺伝子と聞くと私には必ず思い浮かぶ小説があります。

100年近く前、1932年に刊行された、イギリスの作家オルダス・ハクスリーの『すばらしい新世界』です。

西暦2549年。生殖行為は人間の工場生産にとって代わられ、性行為は生殖を伴わない娯楽としての意味しかなくなります。生殖能力がなくなったのではなく、生殖能力が備わる年齢になると政府から避妊薬が支給されるのです。死が近づくと安らかに眠るように死ねる薬も政府から支給されます。人間の生産工場では、重労働に適したクローン人間、極寒または灼熱に耐えうるクローン人間、ある作業に特化したクローン人間、エリート階級のクローン人間などが製造計画によって作られます。

遺伝子の解明はまだでしたが、親から子に伝わる遺伝情報があるということはわかっていた時期の作品です。この後の数十年で遺伝子研究は大きく発展して、クローン人間も可能となりました。

遺伝子検査も、へ~、自分てそうなんだぁ、こういうことに気をつければいいんだな、というレベルであればいいと思います。でも、遺伝子情報によって可能性を自ら摘み取ってしまうとしたら、何のための遺伝子情報なんだろうと思います。

もし何かをやる前に成功率・失敗率が明確にわかったら行動がセーブされます。

同じようなことが出生前診断にも言えます。

出生前診断そのものについて、いいとか悪いとかは自分にはわかりません。

でも、結果がどうであれ、赤ちゃんの不思議さ、神秘さというものは全く変わりません。

今は小学校で妊娠・出産をかなり詳細に学びます。

あるとき、小6の娘が学校から帰るなり、赤ちゃんがどうやってママのお腹の中で育つかを自慢げに話しだしました。そして、突然こう言いました。

赤ちゃんがママから生まれるのはわかった。

ママはママのママから生まれるよね。

じゃあ、いちばん最初の赤ちゃんて誰から生まれたの?

絶句しました。

だって、知らないのですから。

知っていれば偉そうに教えられるのですが、わからないのです。

誰か知っている人っていますか?

遺伝子の解明がすすんで、いろんなことがわかるようになったけど、その遺伝情報は誰が設計書を書いたのでしょうか?

脳が最初の細胞に命令を出しているのでしょうか?

遺伝情報がわかったからって、赤ちゃんのことがわかったなんて思うのは大きな間違いです。

生命の一部分がわかったからって、生命そのものがわかったわけじゃないのです。

赤ちゃんの不思議さはどこまでも尽きないのです。