DaiGo氏の差別発言の根底にあるのはゾンビのように復活しつつある優生思想です。

こんにちは。BeBRAVE.Sビーブレイブエスの明正明美です。

 

ちょっと気になる話題があったので取り上げます。

「メンタリスト」DaiGo氏のホームレスや生活保護利用者に対する差別発言が問題となっています。

一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事/認定NPO法人ビッグイシュー基金共同代表/立教大学大学院客員教授/住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人などをしている稲葉剛さんのツイートで知りました。

朝日新聞ニュース

DaiGo氏は、YouTubeで「生活保護の人たちに食わせる金があるんだったら猫を救ってほしい」「ホームレスの命はどうでもいい」「いないほうがよくない?」などの差別発言を繰り返したということです。

稲葉さんは、芸能人であれ、教員、議員であれ、社会に影響力を持つ者が人を死に追いやりかねない発言をした場合は、一発アウトで職を追われるという前例を積み重ねないと、社会は劣化する一方だと私は考えます。と、かなり厳しい姿勢です。

DaiGo氏の謝罪に対しても、表面的で、単なるポーズの域を出ていないと、これまた厳しい姿勢です。これを受けてDaiGo氏は、前日の謝罪を撤回し、改めて謝罪動画を配信しています。

DaiGo氏の謝罪の真意はともかく、ホームレス・生活保護批判の内容が、どうして彼の中から出てきたのかが気になります。

稲葉さんが指摘するように「優生思想」が根底にあることは否めません。

DaiGo氏は数万人の登録者を持つインフルエンサーなのでその功罪は大きいと思いますが、遺伝子情報の解明によって「優生思想」がまたもゾンビのように生き返って多くの人に影響を与えています。

出生前診断が妊婦を苦悩に陥れています。

「優生思想」は合理的なかんじがします。理にかなっているようなかんじがします。

でも、なんとなくのフィーリングなのです。

私は夏休みに入ってから学童保育でボランティア活動をしていますが、数人の子どもの宿題を手伝ったり、いっしょに遊んだりするなかで、子どもの能力の多様性はとてもはかり知れないということを痛感しています。

宮本算数教室の各種パズル、『ケーキの切れない非行少年たち』がベストセラーとなった精神科医宮口幸治さんの考案したコグトレ、神経衰弱ゲーム、カルタ、トランプ、オセロなどのボードゲームをいっしょにやっていると、得意不得意というのがほんとにこどもそれぞれにあって、自覚のある子、ない子、根気のある子ない子、いろいろです。

学校の教科だけではとても子どもの能力はわからないし、習い事だけでもわからない。

人間の能力ってほんと不思議です。

それなのに、科学の発展であたかも人間のすべてがわかったつもりになってしまい、それが葬り去ったはずの「優生思想」を復活させているのだと思います。

DaiGo氏はメンタリストとして活躍している人ですから、心理学を学んでいますが、そのことがかえって仇となったのかもしれません。多くの人や企業のコンサルティングをするうちに、ダメな人間、できる人間というものの傾向が見えてきて、人間そのものがわかったような気になったのかもしれません。ベテランの教師が陥る子どもへのわかったつもりも同じかもしれません。

経験があるからこそ、数をこなしたからこそ、陥る境涯といえます。

失敗する人成功する人、頭のいい人悪い人、モテる人モテない人、このような二分法はかなりウケます。

面白いですし、人間の心理をうまく利用していて感心します。

でもそれは商売の戦略であって真に受けることではありません。

目の前の現実を見ていればわかることです。

自分が見ている現実ではなく、肩書のある人の机上論・戦略論を鵜呑みにするのは愚かなことですが、誰もが陥る可能性のある落とし穴です。

私自身、学童保育で直接子どもたちと差しで向き合い、いっしょに遊んで、正面切って話をするまでは、うわさや子どもからのまた聞きで判断していた部分があります。(小学1,2年生でも、ていねいにやりとりをすれば子どもの気持ちは推測できますよ)

人にはそういった傾向があるのです。とりわけ、SNSの時代にあっては。

稲葉さんの厳しい姿勢はもちろん評価します。そうしなければいけません。

一方で、DaiGo氏のことは他人事ではありません。

反面教師としたいものです。

 

アメブロにこんな記事がありました。「優性思想は要らない」

なかなか硬派な記事です。

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