コロナ感染対策の基本は変わっていません

こんにちは。BeBRAVE.Sビーブレイブエスの明正明美です。

 

朝夕と虫の鳴く声が聞こえ、夏の終わりを感じます。子どもたちの夏休みも終わりに近づき、寂しい気分は例年どおりですが、連日発表されるコロナ感染者数とそれに伴う蔓延防止や緊急事態といった措置のせいか、不安感と閉塞感が去年よりもいっそう強くなっています。

当初一部の専門家が予測した通り、コロナ感染は長期戦となっています。

頼みの綱とされていたワクチンが万能ではないことがわかり、予断を許さない状況です。

コロナに感染した妊婦さんが受け入れ先医療機関がみつからないまま自宅療養の末出産し、赤ちゃんが亡くなってしまうということも起きています。

妊婦さんをはじめ、持病のある方など健康リスクの高い方の不安は大きいと思います。

受け入れ先を打診された保健所が妊婦であることを当初わかっていなかっという点も気になります。

コロナ感染によって受けるべき医療が受けられない、治療が大幅に遅れるという事態となっています。

つい最近読んだ『ドキュメント がん治療選択 崖っぷちから自分に合う医療を探し当てたジャーナリストの闘病記』では、がんの恐怖とコロナ感染によって治療ができなくなることの二重の恐怖が書かれていました。また、医療機関どうしの連携の問題点についても言及しており、読みごたえのある書籍でした。

日本では2020年初頭に始まったコロナ感染危機ですが、1年半以上経過した今、書籍も多く出ています。

インターネットで最新の情報を得ることはもちろん重要ですが、一定期間経過後の整理して書籍化された情報を分析することも必要です。

1年前のこの時期、日本はまだ優位に立っていました。

外国の医療崩壊を横目に、感染者数も死亡者も比較的少なく、その理由を国民の清潔さやまじめさ、勤勉さ、医療の優秀さなどであるとして、世界の中の優等生としての自覚があったように思います。

その後、ワクチン開発、接種の遅れ、そして今はワクチン妄信への批判がなされています。

医療崩壊を引き起こした国の医師たちが、当時どのような状況の中にいたのか、どのような思いでいたのか、世界で最も被害者を多く出している国の保健衛生関係者は今何を思っているのか、そういったことを知ることは決して無駄ではないと思います。

 

コロナの時代の僕ら』(パオロ・ジョルディーノ)

 

イタリアからの手紙 コロナと闘う医療従事者たちの声』(ラッファエーレ・ブルーノ、ファビオ・ビターレ)

1年前、不名誉な理由で世界でいちばん注目された国イタリアの科学者、医師の書籍です。

医師ラッファエーレ・ブルーノは、「メディアは正確で吟味された情報の伝達にはもってこいの共鳴箱で、情報をどんどん拡散してくれるが、科学的な裏付けのない個人的見解が流されるときわめて有害になる。コロナのもたらす危険を過小評価して軽んじる人々のメッセージが、そうでないものよりもむしろ力を持っていた」と当時を振り返っています。

重要なことを軽視し、重要ではないことを重要と思ってしまう。

混乱状況においてはありがちなことですが、基本となる感染症対策においても同じでした。

熱中症警戒アラートが発せられる中、ひとりで車や自転車に乗っていたり、ランニングしたりするのにマスクを鼻まで覆って使用しているかと思えば、ワクチン接種後はマスクも密を避ける必要もないと言われり、根拠のない民間療法を信じていたり…

手洗い、うがい、マスクの着用、密を避ける、今後も感染症対策としてこれらは有効だと信じています。

『コロナの時代の僕ら』については、以前書いた「今から考えておく 「コロナの前にもどってほしくないこと」」をお読みください。

最後に、感染症によるパンデミックを予測し、回避する方法もわかっていながら、人口規模に比較してはるかに多くの感染者・死亡者を出してしまったアメリカ合衆国の医療従事者たちに関する本である

最悪の予感 パンデミックとの闘い』(マイケル・ルイス)を紹介します。

ジャーナリストの池上彰が解説を書いています。

アメリカのコロナ対策は失敗した。しかし、それでも全米各所に想像力に富み、行動力のある人材がいることがアメリカという国家の強みである。しかし、にもかかわらず、そうした備えが次の世代に継承されていないこと、ここにアメリカの弱点がある。政権が交代するとホワイトハウスのスタッフは総入れ替えになるからである。

このように論じているが、優秀な官僚を有し、医療は皆保険で充実し、国民は忍耐強く、自粛に応じ(この言葉自体が変なのですが)、清潔でハグもキスもしない日本が苦戦しているのはなぜなのか?日本の強み、そして弱点はなんなのだろうか?この本を読んだ人は、アメリカを他人事とは思えないはずです。かつてイタリアを他人事と思ったようには…