妊娠中の女性労働者の待遇をよくすることで事業主は助成金を受給できます

こんにちは。 BeBRAVE.Sビーブレイブエスの明正明美(みょうしょうあけみ)です。

 

きょうは妊娠中の女性労働者に関する「助成金」についてお話をします。

みなさんは、

A 新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置 による休暇制度導入助成金

B 両立支援等助成金 (新型コロナウイルス感染症に関する 母性健康管理措置による休暇取得支援コース)をご存じですか?

Aは、妊娠中の女性労働者が取得できる有給の休暇制度(年次有給休暇を除き、 年次有給休暇の賃金相当額の6割以上が支払われるものに限る)を整備し、当該有給休暇制度の内容を新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の内容とあわせて 労働者に周知した事業主であって、当該休暇を合計して5日以上取得させた事業主に支払われる助成金です。(1事業場につき1回限り15万円)

Bは、妊娠中の女性労働者が取得できる有給の休暇制度(年次有給休暇を除き、年次 有給休暇の賃金相当額の6割以上が支払われるものに限る)を整備し、 当該有給休暇制度の内容を新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の内容とあわ せて労働者に周知した事業主であって、 当該休暇を合計して20日以上取得させた事業主に支払われる助成金です。(対象労働者1人あたり28.5万円。1事業場5人まで)

なんだか似たような内容で頭が混乱しますね。下線部のところが違うのですが、

今回、ここでお伝えしたいポイントは、

助成金を受給できるのは事業主・会社・社長であって、従業員ではないということです。

この2つに限らず、助成金というのは名宛人が事業主・会社・社長なのです。

15万、30万、40万、…金額は助成金によってまちまちですが、従業員が受給できるお金ではないのです。

会社が支給申請して、会社が受給するお金です。

従業員に支払う義務はありません。

では、従業員にとってなんのメリットもないのか?知っていても無駄な話なのか?といえば、そうでもないのです。

妊娠中の女 性労働者が、安心して休暇を取得して出産し、出産後も継続して活躍できる職場環境を整備する ため、当該女性労働者のために有給の休暇制度を設けて取得させた事業主を助成します。

このようにリーフレットに書かれています。

労働者が継続して働くためのなんらかの措置を(それが何かは助成金によります)事業主・会社・社長が行わなければ受給できないのです。(妊娠中の女性労働者を対象とした助成金はコロナ関係以外にもあります)

事業主って、どんなときに助成金を使いたいと思うでしょうか?

お金が欲しい時。

そうです(笑)

でも国からお金を受給すると、その後会計検査の調査対象になりますし、不正受給の調査もされます。

お金欲しさにその時だけ従業員を優遇して、お金をもらった後すぐに解雇…とかはなかなかできません。

それに、助成金にもよりますが、会社都合の退職があると受給できなくなります。

妊娠中の女性労働者であれば、育休を取ってまた戻ってきてほしい、またこの職場で働いてほしい、働き続けてほしい、でもその間の業務は…代替要員の給与は…など先行きが不安です。そんなときに、助成金を使ってください、そういった趣旨なのです。

妊娠出産を理由とした解雇や退職強要、契約の更新打ち切りなどの不利益な取り扱いは禁止されています。

にもかかわらず、妊娠を会社に報告したら、前々から協調性がないと思っていた、前々からお客様からの苦情が多かったなどと、妊娠が理由ではないかのような言い方で退職を促したりします。

本来このような言い分は認められないのですが、言い負かされたり、体調の悪化とかで気弱になったりしてつい会社の言い分をのんでしまい、行政に訴え出ることもしないため、わからないままとなっています。

ただ、事業主も人間なので、妊娠・出産か…めんどうだなと思ったり、前々から気に食わなかったところ、妊娠したのでいいきっかけができたと思ったりします。

逆に労働者側が弱気になっていても、制度を整えてなんとかするからやめるな、戻ってきてほしい、待っている、ということだってあります。

妊娠などの大きなライフイベントを踏まえて仕事を継続させることを日ごろから考えて業務を遂行すると同時に、助成金のリーフレットなどをなにげに社長に見せるなどの策も必要です。

産休や育休はその名前のとおり、休業に対する所得補償なので、やめてしまえばもらうことができないのです。

扶養されていて、心配せずゆったりと体を休めたり、子育てや家事に専念したいという方は別ですが、そうではないという人や、仕事のブランクが痛いという方は、たとえ、最終的に戻れないという事態になったとしても、退職ではなく休業を死守したほうが断然いいのです。

考え方はそれぞれなので、子育てに専念ももちろんありです。

ただ、もし、何もかもがしんどくて退職を考えているなら、休職でも中身は退職といっしょだということをわかってください。

違うのは所得補償があることです。

これがあるとないとでは大きく違います